<雑感>メキシコ利上げ終了は近い、ただ高値圏は維持か
- 2023/4/27
- 佐藤りゅうじブログ

昨年のメキシコペソは、米ドルよりも強く、最強通貨でした。その流れは、3月の米金融不安が発生時に一服となりましが、金融不安が落ち着くと再び買いが先行し、最強通貨に躍り出ています。今回は、今後のメキシコペソの行方を考えてみます。
・利上げは最終局面へ
メキシコ銀行(中央銀行)は、これまで15会合連続の利上げを実施しています。直近の3月30日の会合では、市場の予想通り0.25%の利上げを実施し、政策金利は過去最高の11.25%となっています。ただ、インフレ率の上昇も減速し、利上げは最終局面に入ってきたようです。また、4月13日に公表された3月の金融政策決定会合の議事要旨では、利上げサイクルを終了させる時期に到達した可能性について議論したことが明らかになりました。
・インフレはピークアウト
国立統計地理情報院(INEGI)が24日発表した4月前半の消費者物価指数は、前年同期比6.24%上昇となりました。3月上旬の7.12%上昇からは伸び率が縮小したうえ、2021年10月前半(6.12%上昇)以降で最低の伸びとなりました。農畜産物とエネルギー価格を除くコアインフレ率は7.75%上昇となり、前月の8.15%上昇から、こちらも伸び率が縮小しています。依然として高いインフレ率ではありますが、インフレがピークアウトした可能性は高く、利上げも最終局面に入ってきたと言えそうです。
・米国経済は比較的堅調
メキシコにとって最大の貿易相手国である米国です。米国の景気は減速していますが、一時期ほどではないようです。4月21日に発表された4月米PMI景況感指数をみると、製造業が50.4と3月の49.2から上昇し6カ月ぶりの高水準、サービス業も53.7と3月の52.6から上昇し、1年ぶりの高水準となっています。
米地銀のファースト・リパブリックからの大規模な資金流出がみられるなど、依然として金融不安はあります。ただ、米債市場の動きをみると、一時期よりは悲観的な見方が後退しているようです。メキシコは、米国景気の影響を強く受けるため、米景気の好調が維持されれば、生産地としてのメキシコへの直接投資や郷里送金などからメキシコペソ買いが入りやすいでしょう。
・テクニカル面からは200日線を中心に考える
メキシコペソ・円は、3月8日、昨年10月21日高値7.578円を上抜き、7.642円まで上昇しました。しかし、シリコンバレー銀行の破綻をきっかけに急落し、20日には6.786円まで下落しました。ただ、同水準で下げ止まると、その後は徐々に下値を切り上げ、7.50円目前まで水準を引き上げる場面もありました。
テクニカル的には、200日移動平均線にエンベロープを這わすと、値位置がわかりやすそうです。昨年12月20日に200日移動平均線を割り込んだ際、200日移動平均線のマイナス2%付近で支持されました。3月の米金融不安の急落場面でも、3月17日に同線を割り込みましたが、21日に再び同線を上回ると、その後は同線が支持に上昇に転じました。現在、200日移動平均線は、緩やかに上昇を続けています。長期の上昇トレンドは継続しており、同線をしっかり割り込むようなことがなければ、長期の上昇トレンドは継続しそうです。