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- 堀内昭利-本日の注目点(1月25日)
堀内昭利-本日の注目点(1月25日)
- 2021/1/25
- 堀内昭利 本日の注目点

株式市場は、運動会。為替市場は、お葬式って按配。株式は、バブルだと騒ぐ向きがいる。騒いでいるうちはバブルとは思えない。どちらにしても、世界的な株高で、ゲームは終わるまでわからない。だから、下手に分析などしないほうがいい。過去の経験則があてはまらないのが、現在の米国株なのだし、考えても意味はないと思う。日経平均が大天井を付けた時は、日本だけ踊っていたからね。今は世界的だから、日本株だけではわからないのだ。
(1月25日22時半)
「ニコライ遭難」吉村昭著。新潮。遭難と言うのは、生命の危機に遭う事らしい。作者の作品は全て座布団5枚。私が一番尊敬している作家。この人のすごいのは、事実を知るためにあちこち自分の足で調べまくることだ。ニコライとは、最後のロシア皇帝で、皇太子当時に日本を訪問した。教科書にも出てくる大津事件というもので、津田巡査が皇太子に斬り付けた事件だ。その程度しか知らなかったのだが、当時、この事件で日本中大騒ぎとなり、裁判ももめにもめた。明治天皇は、謝罪に神戸港に停泊中の皇太子の船にまで会いに行っている。天皇は熟睡できなかったようだ。当時、ロシアは最強の軍事国家と言われていて、日本は必ずや攻められて、植民地にされると怯えていた。明治24年の事だから、まだ日本は小国だった。その後、明治27年に日清戦争、37年に日露戦争だから、猛烈な勢いで軍事国家になったのがわかる。この事件の後の、津田とニコライの運命を考えると何とも言えない気持ちになる。事実は小説より奇なりとは、まさにその通りである。